人前で話すのも演奏するのも苦手-ポールと私の日米会話(10)

ポールと私の夫がふたりで仲良く通っている「篠笛教室」。来週にはレッスン生のおさらい会が開かれるそうだ。

このおさらい会でソロ演奏をすることになったポール。今まではずっと逃げ続けてきたけれど今回は何とかOKしたらしい。グループ演奏でもソロパートを演奏するよう言われたのに「どうしてもムリ」と言って結局簡単な太鼓のパートをやることで勘弁してもらったらしい。

彼は人前で話したり演奏したりするのはどうしても苦手だと言い張る。これってアメリカ人には珍しいのでは?

ポールの母ジュリーにも「Enjoy playing for your self !」と言われたとのこと。私も全く同感!

人前に立つということ

しかし、かくいう私自身も若い頃は人前で話すのが大の苦手だった。そういう場面に行き当たりそうになると、ご指名を受けないよう、できるだけ目立たないよう息を潜めていたものだ。

そんな私が曲がりなりにも人前に立つ仕事をするようになった最初のきっかけは、20代もそろそろ終わりに近づいた頃、芝居をしなければならない状況に置かれたことからだった。

この話を披露すると長くなるので端折ってしまうと、自分の嫌いなタイプ(と思っていた)役柄を演じなければならないことへの抵抗感、そして失敗を許さない自分自身に直面したことがきっかけになった。

これを機に、生まれ変わったように人前に身を晒すことに抵抗がなくなった私は、その後の人生を大転換させることになったのだ。

人前で演奏するために

そんな経験から私がポールに助言したのは「完璧主義を捨てること」。彼の中に「上手に演奏する人が素晴らしい」「下手な演奏は恥ずべきこと」などの価値観が潜んでいるから、失敗しそうな自分を許すことができず、そんな場面から逃げてしまうのだ。

人が多少間違えたり上手に演奏できなかったりしても、ダメ出しせずに暖かく見守れる自分になれれば、きっと自分にも失敗を許せるようになるだろう。そしてジュリーが言ったとおり、自分自身が楽しんで演奏できる人になるのだと思う。

さて、来週のおさらい会でどんな演奏を見せてくれるか、私も今回はぜひ立ち会っておかなくちゃ。

人前で話すのも演奏するのも苦手-ポールと私の日米会話(10)” に対して4件のコメントがあります。

  1. 塩原 勝美 より:

    日本人的には『場数を踏む』事でだんだん要領が分かり、消極性が解消されることだと思います。
    英語的に言えば「『トライ アンド エラー」でレベルアップしてくるのだと思います。「男は度胸」との
    日本語もあります。もっと大胆に言えば『命を取られるわけではないのでヤレ」です。

    1. momo より:

      塩原さん、コメントありがとうございます!彼は頭ではそのことをわかっているんです。でも、かつての私同様、自分の中にある強い自己規制を外せないでいるんです。今回は「やるっきゃない」状況に追い込まれているので、ようやくその第一歩を踏み出すことになりそうです。これは私が初めての演劇体験をしたシチュエーションとそっくり。トライ&エラーのスタートはここからですね。

  2. 藤本佳子 より:

    人前で何か表現するのが苦手なポールさんの気持ちよくわかります。でもこの際苦手に挑戦されたら、MOMOさんのアドバイスのように新しい自分が発見できるかも…ポールさんがんばれ!

    1. momo より:

      思い起こせば、保育園の保護者会で隣同士になったよしさんとの出会いが全てのスタートでした。この出会いがなければ、私の人生を大転換させるような数々の体験はできなかったことでしょう。よしさんに感謝!
      娘との出会いをキッカケに日本での生活を余儀なくされたポール。多くの日本人との触れ合いで、今後の人生が豊かなものになることを私は期待しています。人前での演奏体験は彼にとって大きな一歩になりそうです。

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